育成就労で外国人を受け入れられる仕事は、2026年9月27日現在、17の育成就労産業分野に限られています。
ただし、「建設会社だから建設」「製造会社だから工業製品製造業」と会社の業種名だけで判断するものではありません。実際に外国人に担当してもらう仕事内容が、各分野に設定された「業務区分」に入るかを確認する必要があります。
さらに、業務区分に入れば何の仕事でもさせられるわけではありません。育成する「主たる技能」を決め、その修得に必要な「必須業務」に就労時間全体の3分の1以上従事させる仕組みになっています。法務省
まずは17分野と業務区分を確認し、その後に自社の仕事内容を当てはめていきます。
育成就労の対象は17分野・46業務区分
2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針では、特定技能の対象となる19分野のうち、自動車運送業と航空を除いた17分野が育成就労の対象です。
17分野に設定された業務区分を合計すると46区分あります。厚生労働省
| 育成就労産業分野 | 業務区分 | 会社の仕事内容から見た目安 |
|---|---|---|
| 介護 | 介護 | 高齢者などへの身体介護や関連する支援 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング | 建築物内部の清掃 |
| リネンサプライ | リネンサプライ | シーツ・タオルなどリネン類の仕上げ、検品、結束など |
| 工業製品製造業 | 機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製、電線・ケーブル製造、プレハブ住宅製品製造、家具製造、定形・不定形耐火物製造、生コンクリート製造、ゴム製品製造、かばん製造 | 工場での製造・加工。ただし製造業ならすべて対象になるわけではない |
| 建設 | 土木、建築、ライフライン・設備 | 土木工事、建築工事、配管・設備など |
| 造船・舶用工業 | 造船、舶用機械、舶用電気電子機器 | 船体、船舶用機械・電気電子機器の製造など |
| 自動車整備 | 自動車整備、車体整備 | 点検・整備、車体の修理など |
| 宿泊 | 宿泊 | ホテル・旅館等の宿泊サービスに関する業務 |
| 鉄道 | 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員、駅・車両清掃 | 線路、鉄道設備、車両、駅務、清掃など |
| 物流倉庫 | 物流倉庫 | 倉庫での入出庫、検品、格納、ピッキングなど |
| 農業 | 耕種農業、畜産農業 | 野菜・果樹などの栽培、家畜の飼育など |
| 漁業 | 漁業、養殖業 | 漁船漁業、魚介類などの養殖 |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業、水産加工業 | 食品工場での製造・加工、水産物加工 |
| 外食業 | 外食業 | 飲食店での調理、接客など |
| 林業 | 林業 | 植栽、育林、伐採など森林での作業 |
| 木材産業 | 木材産業 | 製材など木材を加工する仕事 |
| 資源循環 | 廃棄物処分業(中間処理) | 廃棄物の中間処理に関する仕事 |
RPF製造の「RPF」は、古紙や廃プラスチックなどを原料とする固形燃料を製造する業務です。
公式の業務区分一覧では、工業製品製造業だけで17区分が設定されており、反対に介護、宿泊、物流倉庫などは1区分です。厚生労働省
「会社の業種」ではなく「外国人にしてもらう仕事」から確認する
育成就労を使えるか調べるときは、会社案内に書いてある業種から決めるのではなく、外国人が実際に担当する仕事を書き出すところから始めます。
たとえば運送会社だからといって、「運送業」という理由だけで育成就労を利用できるわけではありません。
トラック・バス・タクシーの運転業務がある自動車運送業は特定技能の対象ですが、現在の育成就労17分野には含まれていません。厚生労働省
一方、同じ運送関係の会社でも、外国人に担当してもらうのが倉庫内での貨物の入出庫、検品、格納、ピッキングなどであれば、「物流倉庫」に該当する可能性があります。
物流倉庫では、倉庫業者だけでなく、一定の要件を満たす一般貨物自動車運送事業者なども受入れ事業者になれる仕組みがあります。つまり、会社名や業界だけではなく、「どの事業所で、どんな仕事をさせるのか」まで見る必要があります。国土交通省
製造業は「工場だから対象」とは限らない
特に確認が必要なのが工業製品製造業です。
工業製品製造業には17もの業務区分がありますが、工場で働くというだけでは対象になりません。
たとえば、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、印刷・製本、家具製造、ゴム製品製造など、外国人に従事させる仕事がどの業務区分に入るのかを確認します。
そのうえで、受入れ事業所自体が対象となる産業分類に該当するかも確認が必要です。経済産業省は2027年4月1日以降、育成就労外国人を受け入れられる工業製品製造業の事業所について対象産業分類を定めています。経済産業省
したがって製造業では、
会社が製造業か → 何を製造しているか → 外国人に何の作業をしてもらうか
まで確認して初めて対象かどうかを判断できます。
「食品を扱う会社」でも仕事内容によって分野が変わる
食品関係では、「飲食料品製造業」と「外食業」が別の分野です。
食品工場で食品を製造・加工するのであれば飲食料品製造業、水産物を加工する場合は水産加工業という業務区分があります。
一方、飲食店で調理や接客などを行う場合は外食業です。
さらに、飲食料品製造業では2027年4月1日から「飲食料品製造業」と「水産加工業」に業務区分が分かれることになっています。法務省
「食品会社だから飲食料品製造業」と会社単位で決めず、外国人が実際に働く事業所と仕事を基準に確認します。
清掃の仕事もすべてビルクリーニングではない
ビルクリーニングの対象となる中心的な仕事は、建築物内部の清掃です。
建物内部の床、トイレ、浴室などの清掃に加え、一定の客室清掃業務なども対象になります。法務省
一方、ホテルや病院などから回収したシーツ、タオル、浴衣などを専門工場で仕上げる仕事は「リネンサプライ」という別分野です。
リネンサプライでは、仕上げ機械への投入、検品、結束・包装、機械操作などを段階的に修得する育成内容が示されています。厚生労働省
なお、技能実習で対象だった「一般家庭用クリーニング作業」は、2026年1月23日に決定された育成就労の対象には入っていません。法務省
清掃・洗濯関係の会社でも、実際の仕事内容によって制度上の扱いが変わります。
業務区分が同じでも「主たる技能」を決める
17分野・46業務区分まで確認しても、それだけで育成就労計画が決まるわけではありません。
育成就労では、業務区分の中で3年間かけて身につけてもらう「主たる技能」を定めます。
その主たる技能を修得するために必要な仕事が「必須業務」です。
外国人には、必須業務に就労時間全体の3分の1以上従事してもらう必要があります。そのほか、同じ業務区分の範囲内で関連する仕事に従事することはできます。法務省
つまり、
「この業務区分に入る仕事が一つある」
だけでは足りません。
その仕事を3年間の育成の中心として組み込めるかまで考える必要があります。
関連する雑務だけを中心にすることはできない
育成就労外国人は、必須業務以外の仕事を一切できないわけではありません。
同じ業務区分に含まれる仕事や、日本人従業員も通常付随して行う関連業務には従事できます。法務省
たとえば物流倉庫では、入出庫や検品、格納、ピッキングなどが主な仕事ですが、作業場所の整理整頓や清掃、事務所への連絡・報告なども関連業務として想定されています。国土交通省
ただし、育成就労は外国人を単なる人手として配置する制度ではありません。
必須業務を中心に、主たる技能を3年間で育成する計画が必要です。
一人の外国人を複数分野で使うことはできない
「繁忙期によって別の仕事へ回したい」という会社も注意が必要です。
育成就労では、人材育成の一貫性を確保するため、分野をまたいで働かせることはできません。
出入国在留管理庁は、「夏は農業、冬は漁業」のような働き方を例に挙げて、複数分野での就労はできないとしています。法務省
複数事業を行っている会社では、会社全体の仕事をまとめて考えるのではなく、育成就労外国人に担当してもらう分野と業務区分を明確にする必要があります。
特定技能にある「自動車運送業」と「航空」は育成就労では対象外
17分野を確認するときに特に間違えやすいのが、特定技能との違いです。
現在の特定技能には19分野ありますが、育成就労は17分野です。
育成就労にないのは、
- 自動車運送業
- 航空
の2分野です。厚生労働省
そのため、トラック運転者、タクシー運転者、バス運転者を育成就労で受け入れることは、現在の分野設定ではできません。
同様に、航空分野の空港グランドハンドリングや航空機整備も育成就労の対象にはなっていません。
「特定技能で外国人を雇える仕事=育成就労でも受け入れられる仕事」とは限らない点に注意が必要です。
技能実習でできた仕事がすべて育成就労へ移るわけでもない
もう一つ注意したいのが、技能実習からの変更です。
技能実習2号移行対象職種のうち、
- クリーニング職種の一般家庭用クリーニング作業
- 空港グランドハンドリング職種
- ボイラーメンテナンス職種のボイラーメンテナンス作業
は、2026年1月23日に決定された育成就労の対象に含まれていません。法務省
現在技能実習生を受け入れている企業も、「今の職種がそのまま育成就労になる」とは考えず、新しい分野・業務区分との対応を確認する必要があります。
自社で育成就労が使えるかはこの順番で確認する
まず、外国人に実際に担当してもらう仕事を書き出します。
「製造スタッフ」「倉庫スタッフ」のような求人上の職種名だけではなく、「金属部品を加工する」「倉庫で入庫品を検品して棚へ格納する」「食品を工場で加工する」といった実際の作業まで分けます。
次に、その仕事に対応する17分野と業務区分を確認します。
対象となる区分が見つかったら、そこで終わりではありません。「主たる技能」と「必須業務」を確認し、自社で3年間の育成ができる仕事内容になっているかを見ます。
最後に、その分野で受入れ企業に求められる事業者要件、許認可、産業分類、協議会への加入などを確認します。
つまり確認の順番は、
実際の仕事内容 → 分野 → 業務区分 → 主たる技能・必須業務 → 会社側の受入れ要件
です。
会社の業種名だけから判断するより、この順番で確認したほうが「対象分野なのに自社では受け入れられなかった」というずれを防ぎやすくなります。
17分野に入っていても最新の分野別資料まで確認する
2026年9月27日現在、育成就労計画の施行日前申請はすでに始まっています。
ただし、出入国在留管理庁の案内では、分野別運用要領や審査基準、分野別協議会への加入手続について、まだ準備中となっている分野があります。申請前には各分野の最新資料を確認する必要があります。法務省
また、2026年9月9日の有識者会議では、分野別運用方針の改正に向けた作業開始も議題になっています。現在の17分野・46業務区分を基準にしつつ、実際に受入れを進める時点では最新の公式情報を確認してください。法務省
まとめ
育成就労でできる仕事は、2026年9月27日現在、17分野・46業務区分に整理されています。
ただし、「うちの会社は建設業だから使える」「工場だから使える」と会社の業種だけで判断するものではありません。
まず、外国人にしてもらう具体的な仕事内容を確認し、それを分野と業務区分へ当てはめます。
さらに、主たる技能と必須業務を設定して3年間の育成ができるか、会社自体がその分野の受入れ要件を満たすかまで確認する必要があります。
最初に確認するのは会社の業種名ではなく、「外国人に毎日どの仕事をしてもらう予定なのか」です。
その仕事内容を分野・業務区分に当てはめるところから、育成就労の受入れ可否を確認します。
出典
出入国在留管理庁|育成就労制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針