特定技能1号の登録支援機関を選ぶときは、最初から料金の安いところを探すのではなく、①正式に登録されているか、②採用する外国人の言語に実際に対応できるか、③自社の地域・分野で必要な支援を行えるかを先に確認します。
その条件を満たした機関だけを残し、最後に支援内容と料金を比較するのが基本です。
2026年9月17日時点で、登録支援機関は全国に11,615件あります。登録簿から候補を探せますが、登録されていること自体は「自社に合う支援機関」であることを意味しません。
特に確認したいのは、登録簿に「ベトナム語対応」などと書かれていても、その言語を常勤スタッフが話すのか、外部の通訳人を利用するのか、夜間や緊急時にも対応できるのかまでは分からないことです。
そのため、登録簿で候補を絞った後の面談が重要になります。
最初に出入国在留管理庁の登録簿を確認する
登録支援機関を探すときは、まず出入国在留管理庁が公表している「登録支援機関登録簿」を確認します。
登録支援機関は、特定技能1号外国人の支援計画の全部を実施できる体制を持ち、出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関です。登録は5年間有効で、更新されなければ効力を失います。
登録簿では、機関名や所在地、連絡先、対応可能言語などを確認できます。
出入国在留管理庁自身も、委託先を探す際は登録簿の対応可能言語や連絡先を確認して、候補となる登録支援機関へ直接問い合わせるよう案内しています。
ホームページで「登録支援機関」と名乗っているかではなく、現在の登録簿に掲載されているかを最初に確認します。
対応国より「本人が理解できる言語」で確認する
登録支援機関を比較するとき、「ベトナム人対応」「インドネシア人対応」と国籍だけを見ると判断を誤ることがあります。
特定技能1号の支援では、外国人本人が十分理解できる言語で相談・苦情へ対応できる体制が必要です。
そのため重要なのは国名より、
採用予定者が普段使う言語に対応できるか
です。
登録支援機関の登録手続でも、相談対応について「対応可能言語」「対応方法」「対応時間」「緊急時の対応」まで確認する仕組みになっています。
例えば「ベトナム語対応」と登録簿に書いてあったら、面談ではさらに、
- ベトナム語を話せる社員がいるのか
- 通訳人を使うのか
- 平日の何時まで対応できるのか
- 夜間・休日の事故や急病時はどうするのか
まで聞きます。
「対応可能言語=常勤の外国人スタッフがいる」とは限らない
ここは登録簿だけでは分からない部分です。
登録支援機関が相談対応体制を整える方法には、自社職員が外国語で対応する方法だけでなく、通訳人を利用する方法などもあります。
そのため、
「○○語対応と書いてあるから、いつでも○○語を話す担当者につながる」
とは限りません。
外国人本人が困ったときに、
誰へ連絡するのか → その人が不在ならどうするのか → 緊急時はどうするのか
を具体的に説明してもらいます。
対応言語の数が多い機関より、自社で採用する外国人の言語に確実に対応できる機関の方が重要です。
自社の所在地まで実際に支援できるか確認する
登録支援機関は全国にありますが、所在地が遠いから利用できないと一律に決まっているわけではありません。
しかし、特定技能1号の支援には、生活オリエンテーション、行政手続の支援、相談対応、3か月に1回以上の定期面談などがあります。
そのため、会社から何百キロも離れた登録支援機関へ依頼するなら、
- 面談は誰が行うのか
- 対面対応が必要になったとき誰が来るのか
- 行政手続などへの同行をどう行うのか
- 事故・病気・労務トラブル時に現地対応できるのか
を確認します。
所在地の近さだけで決める必要はありませんが、実際に支援が必要になったときの移動・対応方法まで確認して選びます。
自社の分野で委託できる登録支援機関か確認する
登録支援機関として登録されていれば、すべての特定技能分野で無条件に委託先として使えるとは限りません。
分野によっては、登録支援機関側にも追加条件があります。
例えば自動車整備分野では、委託先となる登録支援機関にも協議会への参加等に加え、自動車整備士資格者など所定の経験を持つ人材を置くことが求められています。
飲食料品製造業では、委託先の登録支援機関も協議会の構成員となり、農林水産省や協議会へ必要な協力を行うことが条件です。航空や鉄道でも登録支援機関側に分野独自の要件があります。
したがって、候補へ問い合わせるときは、
「特定技能に対応していますか」ではなく、「○○分野の特定技能1号の全部支援を委託できますか」
と具体的に聞きます。
支援実績は「人数」だけで見ない
支援実績が多いかどうかも比較材料になります。
ただし「累計1,000人支援」という数字だけでは、自社に合うかは判断できません。
例えば製造会社なら、
- 製造業の支援経験があるか
- 自社と同じ国籍・言語の外国人を支援しているか
- 同じ地域で支援しているか
- どのような相談が実際に多いか
を聞いた方が実務に近い判断ができます。
介護で500人支援している機関と、製造業で50人支援している機関なら、製造会社にとって後者の経験の方が参考になる場合があります。
「支援人数」ではなく、自社と似た受入れ条件での経験を確認します。
月額料金より「何が含まれているか」を見る
登録支援機関への委託料金には、法令上の全国一律料金も上限額もありません。
ただし、登録支援機関は支援委託契約を結ぶ際、企業へ支援費用の金額と内訳を示す必要があります。
出入国在留管理庁が以前公表した調査では、外国人1人当たりの支援委託料は月額平均28,386円で、3万円以下が約90%でした。ただし、これは現在の2026年の全国相場を示す統計ではなく、過去の調査値です。
現在の民間各社の料金例では月2万~3万円程度を示すケースがありますが、料金体系は機関によって違います。
例えば、
A社:月2万円+住居支援・通訳・送迎等は別料金
と、
B社:月3万円で多くの支援を含む
では、A社の方が安いとは限りません。
比較するときは、
- 初期費用
- 月額支援費
- 住居確保
- 空港送迎
- 行政手続の同行
- 通訳
- 緊急対応
- 遠方への交通費
- 在留手続関係で別途発生する費用
- 契約終了時の条件
まで同じ表に並べます。
「支援」と「人材紹介」は分けて確認する
登録支援機関の中には、特定技能外国人の人材紹介も行っている会社があります。
ただし、
登録支援機関であること
と、
外国人を紹介できる職業紹介事業者であること
は同じではありません。
人材紹介から依頼したいのであれば、登録支援機関としての登録だけでなく、職業紹介を適法に行える体制・許可等があるかを確認します。
反対に、すでに採用する外国人が決まっていて支援だけ任せたいのであれば、人材紹介機能があることは必須ではありません。
「外国人を探すところから頼むのか」「入社後の支援だけを頼むのか」を先に決めると候補を絞りやすくなります。
在留資格の申請までどこまで対応するか聞く
登録支援機関へ依頼すれば、特定技能に関係する行政手続がすべて自動的に含まれるとも限りません。
支援を委託された登録支援機関は、一定の場合に在留申請の取次ぎを行える仕組みがありますが、支援料金の中に申請関係の業務まで含まれているかは契約によって異なります。
したがって、
- 在留資格変更
- 在留期間更新
- 各種届出
- 行政書士等へ別途依頼する業務
を誰が担当するのかを契約前に確認します。
「月額支援料に全部含まれている」と思っていたら、在留手続は別料金だったということを避けるためです。
トラブル時の連絡先を契約前に聞く
通常時の支援内容だけでは、登録支援機関の差が分かりにくいことがあります。
そこで候補機関には、
「日曜日の夜に外国人から病院へ行きたいと連絡が来たら、誰が対応しますか」
など、具体的な場面を聞いてみます。
登録支援機関の相談体制では、対応時間だけでなく緊急時の対応方法も整える仕組みになっています。
同様に、
「本人から会社を辞めたいと相談された場合はどうしますか」
「給与について本人と会社の説明が食い違った場合、誰が聞き取りますか」
と聞けば、支援方法をイメージしやすくなります。
営業資料の「24時間サポート」だけでなく、実際に誰につながり、何をしてくれるのかまで聞きます。
登録支援機関は支援業務を丸投げできない
登録支援機関は、受託した支援業務そのものをさらに別の事業者へ再委託することはできません。
一方、相談対応で通訳人を利用することなどは制度上想定されています。
そのため、候補機関へ、
「御社自身が行う業務と、通訳など外部の人を利用する部分を教えてください」
と聞くと、実際の支援体制が見えます。
営業担当者だけが日本人で、相談対応は毎回別の通訳を手配する機関と、外国語対応スタッフが日常的に支援している機関では、同じ「○○語対応」でも運用が異なります。
2027年4月以降の支援体制にも対応できるか確認する
特定技能の支援体制は2027年4月1日から一部変更されます。
登録支援機関が支援計画の全部または一部を受託する場合、支援業務を行う事業所ごとに、常勤の役員または職員から支援責任者を1人以上置く仕組みになります。支援責任者については養成講習制度も導入されます。
育成就労から特定技能へ移行する外国人を将来任せる予定なら、2027年4月以降の体制についても、
「新制度に向けた支援責任者の配置はどうなっていますか」
と確認しておくとよいでしょう。
現在登録されていることだけでなく、今後も継続して支援できる体制があるかを見るためです。
3社程度へ同じ条件で見積りを出してもらう
候補を比較するときは、各社へ別々の聞き方をすると料金も支援内容も比べられません。
まず自社側で、
- 特定技能の分野
- 採用人数
- 外国人の国籍・使用言語
- 勤務地
- 就労開始予定時期
- 新規採用か育成就労等からの移行か
- 人材紹介も必要か
- 支援だけ必要か
をまとめます。
この同じ条件を3社程度へ伝え、
対応可否 → 対応言語 → 分野要件 → 支援体制 → 緊急対応 → 費用
の順に比較します。
料金から比較を始めるより、自社では利用できない機関を先に外せるため効率的です。
最初に聞く質問はこの5つでよい
登録支援機関へ初めて問い合わせるなら、最初から細かな質問を何十個も用意する必要はありません。
まず、
- 「○○分野の特定技能1号を支援できますか」
- 「○○語は誰が、どの時間帯に対応しますか」
- 「当社の所在地で対面対応が必要な場合、誰が対応しますか」
- 「1人当たりの初期費用・月額費用と、別料金になる項目を教えてください」
- 「夜間・休日の事故や本人からの退職相談にはどう対応しますか」
を聞きます。
この回答が具体的な機関を残したうえで、実績、契約期間、解約条件、在留手続の範囲などを確認します。
登録支援機関選びで重要なのは、「有名か」「一番安いか」ではありません。
自社の分野・勤務地・外国人の言語という条件で、義務的支援を実際に継続して回せるかです。
まず出入国在留管理庁の登録簿から、自社の外国人が理解できる言語に対応する候補を数社拾い、自社の分野で委託できることを確認してから、同じ条件で見積りを取るところから始めます。
出典
出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について 公式ページ
出入国在留管理庁|登録支援機関登録簿 公式ページ
出入国在留管理庁|特定技能制度に関するQ&A 公式ページ
出入国在留管理庁|特定技能外国人受入れに関する運用要領
出入国在留管理庁|特定技能制度における養成講習について 公式ページ