育成就労の人材紹介会社はどう選ぶ?

育成就労の人材を探すときは、「外国人紹介に強い会社」「紹介料が安い会社」だけで選ばないことが重要です。

特に監理型育成就労では、一般的な人材紹介会社が自由に外国人を紹介できる仕組みではありません。育成就労に係る雇用関係のあっせんを事業として行うには、原則として「監理支援機関」の許可が必要です。監理支援機関は、この許可を受ければ育成就労に限って別途の職業紹介事業許可がなくても職業紹介を行えます。オティット

そのため会社を比較するときは、最初に「この会社が何者なのか」を確認します。

2026年9月27日現在、監理支援機関の許可に係る施行日前申請はすでに始まっています。これから2027年4月の制度開始に向けて選ぶ場合は、単に「育成就労対応予定」と書かれているかではなく、誰が実際の監理支援機関になるのかまで確認しましょう。法務省

「人材紹介会社」と「監理支援機関」は同じではない

外国人採用では、人材紹介会社、登録支援機関、監理団体、監理支援機関など似た名称が並びます。

育成就労で特に区別したいのは次の3つです。

名称主な役割育成就労での確認ポイント
人材紹介会社求人企業と求職者のマッチング一般の有料職業紹介許可だけで監理型育成就労の職業紹介ができるとは限らない
監理支援機関育成就労の職業紹介、計画作成指導、監理・支援など監理型育成就労では中心となる機関
登録支援機関特定技能1号外国人の支援育成就労の監理支援機関とは別制度

特に注意したいのが株式会社です。

外国人技能実習機構のQ&Aでは、監理支援機関になるには原則として営利を目的としない法人である必要があり、株式会社は監理支援機関になることができないと明示されています。

また、特定技能の登録支援機関として登録されていても、それだけで育成就労の監理支援業務ができるわけではありません。別に監理支援機関の許可が必要です。オティット

したがって、株式会社の外国人人材紹介会社から「育成就労の人材を紹介できます」と営業を受けた場合、それだけで問題があるという意味ではありません。

ただし、

「実際に職業紹介と監理を行う監理支援機関はどこですか?」

と確認する必要があります。

人材紹介会社とは別に協同組合などの監理支援機関が入り、役割を分担する形であれば、その契約関係と費用負担を確認します。

有料職業紹介の許可番号だけでは判断しない

一般の外国人人材紹介会社では、「有料職業紹介事業許可」を取得していることが一つの確認材料です。

しかし、監理型育成就労では、それだけを見ても足りません。

国の指針では、育成就労外国人を探して企業へ紹介するスカウトや、育成就労に係る職業紹介を事業として行う場合は、監理支援機関の許可が必要とされています。求人・外国人の情報を選別して提供し、実質的に雇用成立をあっせんしている場合も監理支援事業に当たり得ます。厚生労働省

したがって、最初に聞くべきなのは「有料職業紹介の許可はありますか」だけではありません。

「この育成就労の採用で、求人を受け、外国人との雇用成立をあっせんするのはどの法人か。その法人は監理支援機関として許可を受けるのか」を確認します。

ここが曖昧な会社とは、契約前に役割分担を整理したほうがよいでしょう。

自社の分野・業務区分に対応しているかを見る

監理支援機関であれば、育成就労のすべての仕事を扱えるというわけでもありません。

監理支援機関には、取り扱う育成就労産業分野・業務区分があります。

さらに2026年9月現在、介護、工業製品製造業、自動車整備、物流倉庫、漁業については、監理支援機関に分野独自の上乗せ基準があります。オティット

たとえば物流倉庫の外国人を採用したい会社なら、「外国人紹介の実績がありますか」だけでは不十分です。

自社が予定している物流倉庫の業務区分を扱える監理支援機関なのかまで確認します。

会社へ問い合わせる前に、自社で外国人に担当してもらう仕事内容を具体的にしておくと確認しやすくなります。

「どこの国から紹介できるか」だけでなく送出機関まで確認する

海外から人材を受け入れる場合は、対応国も重要です。

ただし、「ベトナム対応」「インドネシア人を紹介できます」といった国名だけでは判断できません。

監理型育成就労で外国の送出機関から取次ぎを受ける場合は、二国間取決めと、その国の認定送出機関を確認する必要があります。

2026年9月現在は、正式な認定送出機関リストが出ている国と、二国間取決めの協議中で暫定送出機関リストが出ている国が混在しています。オティット

人材会社や監理支援機関には、

「どの国から採用するのか」

だけでなく、

「現地のどの送出機関を利用するのか」

「その機関は育成就労用の認定または暫定リストのどちらに載っているのか」

まで確認します。

技能実習で長く使っていた送出機関でも、育成就労でそのまま利用できるとは限りません。

候補者を「何人集められるか」より選考方法を見る

外国人人材会社を比較すると、「3人採用なら10人面接できます」「短期間で候補者を集めます」といった候補者数が目につきます。

しかし、育成就労では3年間の育成と、その先の特定技能1号への移行まで見据えるため、候補者数だけでは判断しにくくなります。

確認したいのは、候補者が面接へ来る前に何を確認しているかです。

たとえば、企業の仕事内容や勤務地、給与・労働時間を本人へどう説明しているのか、日本語能力をどう確認しているのか、なぜ日本でその仕事を希望しているのか、本人が送出しのためにいくら負担しているのかなどです。

育成就労では求人時の業務内容、労働時間、賃金などを適切に明示することが求められています。オティット

「人数をそろえて面接させる会社」より、企業の仕事と候補者の希望を事前に合わせているかを確認したほうが、採用後のずれを見つけやすくなります。

見積りは「紹介料」ではなく3年間に払う費用で比べる

育成就労では、人材の採用時だけでなく受入れ後も費用が発生します。

監理支援費は制度上、

  • 職業紹介費
  • 講習費
  • 監査指導費
  • その他諸経費

に区分されています。

職業紹介費には、候補者の募集・選抜にかかる人件費や交通費、送出機関との連絡、送出機関へ支払う費用などが含まれます。監理支援機関は、費用の算出根拠や収支を管理することも求められています。法務省

したがって2社を比較するときに、

A社「紹介料20万円」
B社「紹介料30万円」

だけで安いほうを選んでも、実際の総負担は分かりません。

採用までの初期費用だけでなく、入国前・入国後講習、毎月の監理支援、通訳、訪問、各種手続、日本語教育、試験、渡航関係など、何が見積りに含まれ、何が別料金になるのかを確認します。

できれば「採用から3年間で企業が支払う費用」を同じ条件で出してもらうと比較しやすくなります。

外国人本人がいくら払うのかも確認する

企業が支払う料金だけでなく、外国人本人の負担も確認しておきたいところです。

育成就労では、外国人が送出機関へ支払う費用が不当に高額にならないよう規制が設けられており、送出機関が外国人から徴収できる費用には、所定内賃金月額の2か月分という上限があります。法務省

そのため人材紹介会社や監理支援機関へ、

「候補者本人は現地で総額いくら払いますか」

「その内訳を企業側でも確認できますか」

と聞いてみる価値があります。

企業側の紹介費だけが安く、その分を外国人本人へ負担させている仕組みになっていないかも確認します。

採用後に誰が会社へ来るのかを確認する

育成就労では、人材を紹介して入国させれば終わりではありません。

監理支援機関には、受入れ企業の監理、育成就労計画の作成指導、外国人への支援など継続的な業務があります。

制度では、監理支援の実務を担当する常勤役職員について、最低2人以上に加え、受入れ企業数・外国人数に応じた配置基準も設けられています。オティット

比較するときは「24時間相談できます」といった説明だけでなく、

誰が自社の担当になるのか、何社・何人を担当しているのか、日本語以外では何語で相談できるのか、休日や夜間の事故・病気・失踪などに誰が対応するのかを聞きます。

営業担当者の印象だけで決めず、実際に受入れ後を担当する人や体制を確認したほうが実態をつかみやすくなります。

日本語教育と特定技能への移行まで聞いておく

育成就労は、原則3年間で特定技能1号水準の人材へ育成する制度です。

そのため、人材紹介の段階だけでなく、日本語教育や技能評価への対応も比較材料になります。

日本語教育については、出入国在留管理庁が育成就労向けの日本語講習を提供できる教育機関の情報も公表しています。法務省

人材紹介会社や監理支援機関には、

「入国前だけでなく、入国後3年間の日本語教育をどう組むのか」

「技能・日本語試験をいつ受けさせるのか」

「3年後に特定技能1号へ移行する場合、誰が手続や支援を担当するのか」

まで聞いておくと、採用だけの会社なのか、その後まで設計できる相手なのかが分かります。

なお、登録支援機関であることと監理支援機関であることは別です。両制度を別の機関に依頼することもできるため、「全部同じ会社でなければならない」という意味ではありません。オティット

転籍が起きたときの対応も聞いておく

育成就労では、一定の条件を満たせば外国人本人の意向による転籍が認められます。

そのため、「うちから外国人が辞めることはありません」という説明より、転籍希望が出た場合に制度に沿ってどう対応するのかを説明できる機関のほうが、実際の制度運用を確認しやすくなります。

なお、本人意向による転籍の要件には、転籍に当たり民間の職業紹介事業者による職業紹介等を受けていないことも含まれています。法務省

人材会社が採用から転籍まで何でも自由に仲介できる制度ではありません。

採用前には、定着支援だけでなく「転籍希望が出た場合は誰がどの手続を担当するのか」まで確認しておくとよいでしょう。

3社を比べるなら同じ質問をする

人材紹介会社や監理支援機関から話を聞くと、各社が得意な部分を中心に説明するため、そのままでは比較しにくくなります。

見積りを取る際は、少なくとも次の項目を同じ条件で聞くと違いが見えます。

確認すること聞き方
法的な立場育成就労の職業紹介を実際に行う監理支援機関はどこですか
許可監理支援機関の許可・施行日前申請の状況はどうなっていますか
対象業務当社の○○業務区分を扱えますか
採用国どの国から採用できますか
送出機関現地ではどの送出機関を利用しますか
候補者選定面接前に何を確認していますか
企業負担採用から3年間の費用総額と内訳はどうなりますか
本人負担外国人本人が現地で支払う金額はいくらですか
受入れ後誰が訪問・相談対応を担当しますか
日本語・試験3年間の教育と試験をどう管理しますか
転籍本人が転籍を希望した場合はどう対応しますか
特定技能3年後の移行を誰が支援しますか

回答を同じ表に入れれば、「紹介料が安い」という1項目だけで決めにくくなります。

最初に見るのは「紹介できる人数」ではなく契約の構造

育成就労の人材紹介会社を選ぶとき、最初に確認したいのは実績人数でも料金でもありません。

誰が候補者を集め、誰が職業紹介を行い、誰が監理支援を行い、海外ではどの送出機関が関わるのかを明確にします。

特に株式会社の人材紹介会社が窓口になっている場合は、その会社名だけを見て契約せず、実際の監理支援機関の法人名まで確認します。

そのうえで、自社の分野への対応、採用国、候補者の選考方法、外国人本人の負担、3年間の総費用、受入れ後の担当体制、日本語教育、特定技能への移行までを同じ条件で比べます。

育成就労では、「人を連れてこられる会社」を選ぶというより、採用から3年間の育成までを制度に沿って運用できる体制を選ぶと考えたほうが実態に合っています。

出典

出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A

出入国在留管理庁|育成就労制度運用要領

外国人技能実習機構|監理支援機関の許可申請に係るよくあるご質問

外国人技能実習機構|外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)

外国人技能実習機構|監理支援機関の分野別上乗せ基準