育成就労で外国人を海外から受け入れる場合、現地にある送出機関ならどこでも利用できるわけではありません。
監理型育成就労で外国の送出機関から人材の取次ぎを受ける場合は、原則として、日本と二国間取決めを作成した国から受け入れ、その国の政府が認定した送出機関を利用します。認定送出機関の一覧に載っていない送出機関から取次ぎを受けた場合、育成就労計画の認定を受けることはできません。オティット
2026年9月27日現在は、すでに正式な認定送出機関リストが出ている国と、制度開始前の「暫定送出機関リスト」の段階にある国があります。
ここを区別して確認することが重要です。
まず「国」と「送出機関」の2段階で確認する
育成就労の送出しでは、
受入れたい国を決める
↓
日本との二国間取決めを確認する
↓
その国の認定送出機関リストを確認する
という順番になります。
二国間取決めは「MOC(協力覚書)」とも呼ばれ、日本と送出国が、育成就労外国人の保護や不適正な送出機関の排除、高額な送出費用の防止などについて協力するための政府間の取決めです。法務省
そのため、たとえば現地で長年人材紹介をしている会社や、技能実習で利用してきた送出機関であっても、それだけで育成就労に利用できるとは限りません。
2026年9月現在の認定・暫定送出機関の状況
2026年9月27日現在、外国人技能実習機構の育成就労用ページには16か国の送出機関リストが掲載されています。
ただし、すべてが正式な「認定」ではありません。オティット
| 国 | 2026年9月27日現在のリスト | 二国間取決め |
|---|---|---|
| ウズベキスタン | 認定 | 作成済み |
| スリランカ | 認定 | 作成済み |
| タイ | 認定 | 作成済み |
| ラオス | 認定 | 作成済み |
| インドネシア | 暫定 | 未作成 |
| カンボジア | 暫定 | 未作成 |
| キルギス | 暫定 | 未作成 |
| タジキスタン | 暫定 | 未作成 |
| ネパール | 暫定 | 未作成 |
| パキスタン | 暫定 | 未作成 |
| バングラデシュ | 暫定 | 未作成 |
| 東ティモール | 暫定 | 未作成 |
| ブータン | 暫定 | 未作成 |
| フィリピン | 暫定 | 未作成 |
| ベトナム | 暫定 | 未作成 |
| ミャンマー | 暫定 | 未作成 |
正式な二国間取決めが作成されているのは、現在、ウズベキスタン、スリランカ、タイ、ラオスの4か国です。法務省
一方、ベトナムやインドネシア、フィリピンなどには暫定送出機関リストがあります。
この「暫定」と「認定」の違いを理解しておく必要があります。
暫定送出機関は正式な認定送出機関ではない
二国間取決めの協議中でも、相手国政府から「将来、認定送出機関になることが見込まれる機関」の一覧が提出される場合があります。
これが「暫定送出機関リスト」です。
監理支援機関は、制度開始前の許可申請で、暫定リストに載っている送出機関を申請書に記載できます。オティット
しかし、暫定リストに載っているだけでは、最終的にその送出機関を使えることが確定したわけではありません。
正式な監理支援機関の許可は、その国との二国間取決めが作成され、正式な認定送出機関リストが提出された後になります。オティット
たとえば暫定リストに載っていた送出機関でも、
- 正式な認定送出機関リストに載らなかった
- その国との二国間取決めが作成されなかった
という場合は、その送出機関を記載したままでは監理支援機関の許可を受けられません。
2027年4月の制度開始に向けて外国人採用を準備する企業は、「暫定リストに載っている=その送出機関で採用確定」と考えないことが重要です。
技能実習で使っていた認定送出機関をそのまま使えるとは限らない
技能実習制度にも外国政府認定送出機関の一覧があります。
しかし、これは育成就労の認定送出機関とは別です。
外国人技能実習機構も、技能実習制度の認定送出機関一覧について、育成就労制度の監理支援機関許可の施行日前申請には使用できないと明記しています。オティット
たとえば、これまで技能実習生をベトナムから受け入れており、長く付き合っている送出機関があったとしても、
「技能実習で認定されているから、育成就労でも使える」
とは判断できません。
育成就労用の認定送出機関リストに、その送出機関が掲載されているかを改めて確認する必要があります。
認定送出機関になるには何が確認される?
育成就労の認定送出機関は、単にその国で人材紹介の営業許可を持っていればよいわけではありません。
育成就労法施行規則では、送出機関について複数の要件を定めています。
主なものには、
- 送出国の公的機関から推薦を受けている
- 育成就労制度を理解した外国人を適切に選定する
- 対象者の素行を確認する
- 外国人や監理支援機関から徴収する費用の算出基準を公表する
- 送出国の法令に従って事業を行う
- 外国人から保証金を預からない
- 途中帰国などを理由とする違約金契約を結ばない
- 外国人の人権を侵害しない
- 受入れ企業や監理支援機関への過度な金銭・接待などを行わない
といった条件があります。オティット
外国政府がこれらの要件を満たしていると認定した送出機関が、日本側で公表される認定送出機関リストに掲載されます。
ただし、一度認定されれば永久に利用できるわけでもありません。
認定後に要件を満たさなくなったことが判明した場合や、送り出した外国人の行方不明事案が著しく多い場合などには、その送出機関からの受入れが認められなくなる可能性があります。オティット
外国人本人が払う送出費用にも上限がある
育成就労では、送出機関が外国人本人などから受け取れる費用にも上限があります。
上限は、育成就労計画に記載された所定内賃金の月額の2か月分です。
送出機関は、費用の項目や算出基準をインターネットなどで公表する必要があります。オティット
たとえば育成就労外国人の所定内賃金が月20万円なら、外国人本人などから送出機関が受け取れる費用の上限は40万円です。
実際の送出しに必要な費用がこの金額を超える場合でも、超過分を外国人本人へ負担させることはできません。制度上は、上限を超える送出費用について受入れ側が負担することで、外国人の経済的負担を抑える仕組みになっています。オティット
受入れ企業が監理支援機関から見積りを取るときは、「月々の監理支援費」だけでなく、送出しに関する初期費用を誰がどこまで負担するのかも確認しておく必要があります。
企業が送出機関と直接やり取りする仕組みとは限らない
一般的な監理型育成就労では、外国の送出機関から求職の申込みの取次ぎを受けるのは監理支援機関です。
監理支援機関は、外国の送出機関から取次ぎを受ける場合、その送出機関との間で取次ぎに関する契約を締結します。オティット
その契約では、外国人本人や家族などから保証金を徴収していないことや、途中帰国・行方不明などを理由とした違約金契約を設けていないことも確認しなければなりません。
監理支援機関と送出機関との間で、行方不明や途中帰国を理由とした違約金や、いわゆるキックバックなど不当な利益を受け取る契約をすることも認められていません。オティット
そのため受入れ企業にとっては、「どこの送出機関を使いたいか」だけでなく、利用予定の監理支援機関がどの国・どの認定送出機関と契約しているかを確認することが実務上重要です。
国によっては外国人ごとの「推薦状」も必要
認定送出機関の確認だけで終わらない国もあります。
2026年9月現在、育成就労計画の認定申請に際して、送出国の公的機関が作成した「推薦状」を外国人ごとに提出することとされている国として、次の5か国が案内されています。
- インドネシア
- カンボジア
- キルギス
- ベトナム
- ラオス
監理型育成就労の一部や単独型育成就労には例外があります。法務省
つまり、国によって申請までの手続が完全に同じではありません。
送出国を決めるときは、認定送出機関の有無だけでなく、その国固有の推薦手続なども確認する必要があります。
「ベトナムから採りたい」だけではまだ採用ルートは決まらない
企業が外国人採用を検討するとき、「ベトナム人を採りたい」「インドネシアから採用したい」と国から考えることがあります。
育成就労では、その後にもう一段確認が必要です。
たとえば2026年9月27日時点でベトナムを検討する場合、育成就労用の暫定送出機関リストは公表されていますが、正式な二国間取決めと認定リストの段階にはまだ移っていません。オティット
そのため、
採用したい国
→ 二国間取決めの状況
→ 暫定か正式認定か
→ 利用する送出機関がリストにあるか
→ 監理支援機関がその送出機関と契約できるか
→ 国別の推薦状などが必要か
まで確認する必要があります。
「その国から人を集められる送出会社を知っている」というだけでは、育成就労の受入れルートが確定したことにはなりません。
送出機関を選ぶときは認定の有無だけで終わらせない
正式な認定送出機関であることは最低限の条件です。
実際に採用を進めるなら、そのうえで、
候補者をどのように集めているか、日本語教育をどこまで行うか、企業の仕事内容を候補者へどう説明するか、外国人本人が実際にいくら支払うのかなども確認したほうがよいでしょう。
特に費用については、送出機関が公表している費用表だけでなく、外国人本人が実際に支払う総額まで確認することが重要です。
受入れ企業側についても、送出機関などから社会通念上相当と認められる程度を超えた金銭や物品、接待などを受けることは禁止されています。法務省
認定リストに載っていることと、「自社の採用先として適していること」は別に考える必要があります。
最初は監理支援機関に「国・送出機関・現在の認定状況」を確認する
監理型で育成就労外国人を受け入れる企業は、最初から海外の送出機関だけを探すより、利用を検討している監理支援機関に次の3点を確認すると整理しやすくなります。
「どの国から受け入れられるか」「現地のどの送出機関と契約する予定か」「その送出機関は育成就労用の認定リストに載っているか」です。
暫定リストの国であれば、さらに二国間取決めがまだ作成されていないことを前提に、正式認定へ切り替わったかを受入れ申請時点でもう一度確認します。
育成就労では、**「送出機関を先に選ぶ」のではなく、「国の二国間取決めと認定状況を確認してから、その範囲で送出機関を確認する」**のが基本です。
なお、この記事は主に、海外の送出機関から候補者の取次ぎを受ける監理型育成就労を前提にしています。海外の関連会社の職員を受け入れる単独型などでは仕組みが異なるため、別に確認が必要です。
まとめ
育成就労では、海外にある送出機関を自由に利用できるわけではありません。
外国の送出機関から人材の取次ぎを受ける監理型では、原則として日本と二国間取決めを作成した国から受け入れ、外国政府が認定した送出機関を利用します。
2026年9月27日現在、正式な認定送出機関リストが公表されているのは、ウズベキスタン、スリランカ、タイ、ラオスです。一方、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどは暫定送出機関リストの段階です。オティット
現在技能実習で利用している送出機関があっても、そのまま育成就労に使えるとは限りません。
受入れを始めるなら、まず利用予定の監理支援機関に「どの国から受け入れるのか」と「育成就労用のどの認定送出機関を利用するのか」を確認し、外国人本人の負担費用や国別手続まで確認してから採用を進めます。