育成就労制度が2027年4月1日に始まっても、その日に現在の技能実習生が育成就労へ切り替わるわけではありません。
2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている人は、原則として認定済みの技能実習計画に従い、そのまま「技能実習」の在留資格で実習を続けられます。また、施行日前に技能実習計画の認定申請をしている場合も、一定の条件を満たせば2027年4月以降に技能実習を開始できます。法務省
ただし、1号から2号へ進める人と、2号から3号まで進める人では条件が違います。
会社側では、現在いる技能実習生を一括して考えず、2027年4月1日時点で1号・2号・3号のどこにいる予定かを一人ずつ確認することが重要です。
2027年4月1日以降も技能実習を続けられるのは3つのケース
経過措置により、育成就労制度の開始後も技能実習を行えるのは、大きく次の3つです。
| ケース | 2027年4月以降 |
|---|---|
| 2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている | 現在の認定計画に基づいて継続できる |
| 2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請をしている | 原則2027年6月30日までに開始すれば可能 |
| 経過措置の対象者が次の段階へ進む | 条件を満たせば1号→2号、一定の場合は2号→3号へ進める |
外国人技能実習機構の経過措置Q&Aでも、施行後に認められる技能実習は、この3類型に限定されています。オティット
したがって、2027年4月1日から技能実習制度が突然消え、全員が育成就労になるわけではありません。
しばらくは「技能実習生」と「育成就労外国人」が同じ会社に在籍するケースもあります。
2027年4月1日時点で技能実習1号なら2号へ進める
2027年4月1日時点で技能実習1号として実習を行っている人は、1号終了後に技能実習2号へ進むことができます。
もちろん、技能実習2号へ移行するための通常の要件を満たし、2号の技能実習計画の認定を受ける必要があります。
経過措置だから1号の残り期間だけで終了するわけではありません。法務省
さらに、2027年4月1日より後に経過措置を使って1号を開始した人でも、2027年6月30日までに1号技能実習を開始していれば、経過措置上は2号へ進むことができます。外国人技能実習機構の案内でも、2号技能実習の対象として「令和9年6月30日までに1号技能実習を開始している実習生」が示されています。オティット
つまり、
2027年4月1日をまたいだから1号で終了
とは限りません。
1号から2号までは経過措置により続けられるケースがあります。
2号から3号へ進める人は限定される
注意が必要なのが技能実習3号です。
2027年4月1日以降に2号から3号へ移るには、2027年4月1日時点で技能実習2号を1年以上行っていることが必要です。オティット
そのため、3号への移行を予定するなら、経過措置上は遅くとも2026年4月1日までに技能実習2号を開始している必要があります。
たとえば次のように分かれます。
| 2027年4月1日時点 | その後 |
|---|---|
| 技能実習1号 | 2号へ進めるが、3号までは進めない |
| 技能実習2号・開始から1年未満 | 2号は続けられるが、3号へは進めない |
| 技能実習2号・開始から1年以上 | 要件を満たせば3号へ進める |
| 技能実習3号 | 現在の認定計画に従って継続できる |
特に「今は技能実習生だから最長5年働いてもらえる」と考えている会社は、対象者ごとに見直す必要があります。
2027年4月1日時点で2号を1年以上行っていなければ、経過措置を使って3号まで進むことはできません。
2号を「1年以上」の数え方にも注意する
3号移行の「技能実習2号を1年以上行っているか」は、単純に入国日から計算するものではありません。
技能実習2号への在留資格変更許可時に交付された在留カードの許可年月日を確認し、そこから2027年4月1日までの期間を基本に計算します。オティット
ただし、転籍手続のため「特定活動」で在留していた期間や、技能実習実施困難時届出を提出して技能実習を中断していた期間は、原則として「技能実習2号を行っている期間」には入りません。オティット
たとえば在留カード上だけを見ると1年以上経過していても、中断期間がある場合には3号移行の1年要件を満たさない可能性があります。
3号移行予定者に中断や転籍歴がある場合は、監理団体と期間を確認したほうがよいでしょう。
2027年4月以降に新しく技能実習を始めることも一部可能
育成就労制度開始後は、新たな技能実習がすべて禁止されるわけではありません。
2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請を行っており、原則として2027年6月30日までに技能実習を開始できる場合は、経過措置によって技能実習として受け入れられます。法務省
一方、2027年4月1日以降に新たな技能実習計画の認定申請をすることはできません。
外国人技能実習機構では、1号技能実習計画について法的には2027年3月31日まで申請できますが、審査や入国手続に時間がかかるため、2027年2月までに申請するよう案内しています。オティット
「3月31日まで申請できる」と「3月31日に出せば間に合う」は別です。
これから技能実習で新規受入れを予定している会社は、2027年6月30日までに入国・開始できるかまで逆算する必要があります。
原則2027年6月30日までに入国する必要がある
施行後に経過措置を使って新しく技能実習を始める場合、原則として2027年6月30日までに上陸許可を受ける必要があります。
施行日前にすでに在留資格認定証明書の交付を受けていても、6月30日を過ぎれば、原則として技能実習として上陸許可を受けることはできません。オティット
ただし、施行日前に在留資格認定証明書の交付申請を行い、証明書自体が2027年4月1日以降に交付された場合には、その証明書の交付日から3か月以内に入国するという例外的な扱いがあります。法務省
そのため、6月30日前後の案件では単純に日付だけで判断せず、技能実習計画と在留資格認定証明書の申請・交付時期を確認する必要があります。
今いる技能実習生を育成就労へ途中変更することはできない
経過措置で技能実習を続けている人について、
「2027年4月から新制度になるなら、途中から育成就労へ変えよう」
という切替えはできません。
外国人技能実習機構の経過措置Q&Aでは、育成就労制度施行後に技能実習を行っている人は、技能実習の途中から育成就労へ切り替えることはできないと明示されています。オティット
つまり、経過措置の技能実習生には引き続き技能実習制度のルールが適用されます。
新しく受け入れる育成就労外国人とは、同じ会社にいても適用される制度が違うことになります。
技能実習2号から特定技能1号へ移る道は残る
3号へ進めない技能実習生が、必ずその時点で帰国しなければならないとは限りません。
育成就労制度が始まった後も当分の間、技能実習2号を良好に修了し、特定技能で従事する業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合は、特定技能1号へ移行できます。法務省
そのため、2027年4月1日時点で技能実習2号を始めてから1年未満で、経過措置上3号へ進めない人については、
技能実習2号を修了
→ 特定技能1号への移行を検討
というルートが重要になります。
会社がその外国人を引き続き雇用したい場合は、3号へ進めるかだけではなく、特定技能1号へ移れる職種・分野なのかも確認しておく必要があります。
2027年4月1日時点で技能実習を中断している場合は別扱い
「日本にはいるが、現在実習していない」というケースにも注意が必要です。
施行日前から技能実習実施困難時届出を提出して技能実習を中断し、2027年4月1日時点でも中断したままの場合は、その技能実習を施行後に再開することはできません。オティット
また、転籍手続などで2027年4月1日時点の在留資格が「特定活動」となっている場合、その在留資格の期間中は在留できますが、施行後に再び「技能実習」へ在留資格変更することはできません。オティット
単に「2027年4月1日に日本にいるか」ではなく、
その日に認定技能実習計画に基づいて実際に技能実習を行っているか
が重要です。
技能実習生と育成就労外国人が同時にいる会社では人数枠にも注意
経過措置期間中は、同じ会社で技能実習生と育成就労外国人を同時に受け入れるケースがあります。
この場合、技能実習と育成就労の人数枠も完全に別々に考えるわけではありません。
経過措置で残る技能実習1号・2号の人数は、育成就労外国人の受入れ人数枠を計算するときに、育成就労外国人として数えます。技能実習3号はこの計算には含まれません。オティット
たとえば育成就労の基本人数枠が9人で、経過措置中の技能実習1号・2号が5人在籍していれば、その5人も枠の計算に影響します。
2027年4月以降に育成就労外国人を追加で受け入れる会社では、現在いる技能実習生の人数と号数まで確認する必要があります。
監理団体との関係もすぐにはなくならない
経過措置で技能実習を続ける人には、引き続き技能実習制度のルールが適用されます。
そのため、技能実習に関する各種届出も引き続き必要です。監理団体も、施行後に技能実習の監理事業を行っている間は、監理団体として活動を続けられます。オティット
一方、新しい育成就労外国人を監理型で受け入れる場合には「監理支援機関」が関わります。
同じ団体が両方の許可を持つ場合もありますが、
既存の技能実習生=技能実習制度・監理団体
新しい育成就労外国人=育成就労制度・監理支援機関
と制度上は分けて管理します。
会社は今いる技能実習生を4つに分けて確認する
2027年4月を迎える前に、受入れ企業が最初にすることは、現在の技能実習生を人数だけで見ることではありません。
一人ずつ2027年4月1日時点の予定を確認し、
1号なのか
2号開始から1年未満なのか
2号開始から1年以上なのか
3号なのか
に分けます。
そのうえで、次の出口を決めます。
| 2027年4月1日時点 | 主な確認 |
|---|---|
| 1号 | 2号へ移行する予定を確認 |
| 2号・1年未満 | 2号修了後の特定技能1号などを検討 |
| 2号・1年以上 | 3号移行の通常要件も含めて確認 |
| 3号 | 現在の認定計画の終了時期を確認 |
| 中断中・特定活動 | 通常の経過措置と異なるため個別確認 |
さらに2027年4月以降に新しい外国人も受け入れるなら、「技能実習の経過措置を使うのか」「育成就労として受け入れるのか」を分けて準備します。
まとめ
技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ置き換わりますが、その日に現在の技能実習生が一斉に育成就労へ変更されるわけではありません。
2027年4月1日時点ですでに技能実習を行っている人は、原則として認定済みの計画に基づき技能実習を続けられます。施行日前に計画申請を行い、原則2027年6月30日までに開始する人についても経過措置があります。法務省
1号から2号への移行は可能ですが、3号へ進めるのは、2027年4月1日時点で技能実習2号を1年以上行っている人に限られます。技能実習の途中から育成就労へ変更することはできません。オティット
現在技能実習生を受け入れている会社は、まず全員について、2027年4月1日時点の「号」と、技能実習2号の開始日を一覧にしてください。
それが分かれば、「2号まで続ける人」「3号へ進める可能性がある人」「2号修了後に特定技能を検討する人」を分けて、2027年4月以降の受入れ計画を作れます。
出典
出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A
公式ページ
外国人技能実習機構|技能実習制度の経過措置に関するQ&A
公式資料
外国人技能実習機構|育成就労制度について
公式ページ
厚生労働省|外国人育成就労制度について
公式ページ