育成就労では、企業が何人でも外国人を受け入れられるわけではありません。
基本となるのは、受入れ企業の「常勤職員数」です。監理支援機関の監理を受けて行う監理型育成就労では、常勤職員数に応じて受け入れられる育成就労外国人の上限が決まります。
ただし、人数表だけを見て「うちは9人受け入れられる」と判断するのは早計です。
技能実習生が残っている場合、優良な育成就労実施者に該当する場合、建設・介護など分野独自の人数制限がある場合で、実際の受入れ可能人数が変わります。
監理型育成就労の基本人数枠
監理支援機関の監理を受ける「監理型育成就労」の基本人数枠は、次のとおりです。
| 企業の常勤職員数 | 一般の基本人数枠 | 優良な育成就労実施者 |
|---|---|---|
| 301人以上 | 常勤職員数の15% | 常勤職員数の30% |
| 201~300人 | 45人 | 90人 |
| 101~200人 | 30人 | 60人 |
| 51~100人 | 18人 | 36人 |
| 41~50人 | 15人 | 30人 |
| 31~40人 | 12人 | 24人 |
| 6~30人 | 9人 | 18人 |
| 5人 | 9人 | 15人 |
| 4人 | 9人 | 12人 |
| 3人 | 9人 | 10人 |
| 2人 | 6人 | 7人 |
| 1人 | 3人 | 4人 |
一般の基本人数枠では、常勤職員が3~30人の企業は9人までです。
そのため、たとえば常勤職員10人の会社なら基本人数枠は9人、常勤職員40人なら12人、常勤職員80人なら18人となります。
ここで注意したいのは、この人数が「毎年新しく受け入れられる人数」ではないことです。
9人枠なら毎年9人ずつ採用できるわけではない
技能実習では1号・2号・3号という区分がありましたが、育成就労ではこの区分がありません。
人数枠は、1年目から3年目まで在籍している育成就労外国人の合計人数に対して適用されます。
たとえば基本人数枠が9人の会社で、
- 1年目の外国人3人
- 2年目の外国人3人
- 3年目の外国人3人
が在籍していれば、合計9人で枠いっぱいです。
そこへ新たに3人を受け入れて12人にすることはできません。
反対に、まだ育成就労外国人がいない会社であれば、制度上は同じ事業年度に9人をまとめて受け入れることも可能です。出入国在留管理庁も、人数枠の上限まで同一事業年度に受け入れることができるとしています。
「年間採用人数」ではなく、「同時に在籍できる育成就労外国人の総数」と考えると分かりやすくなります。
常勤職員数には誰を入れる?
人数枠を確認するときは、最初に自社の「常勤職員」が何人なのかを確定します。
育成就労制度でいう常勤職員は、単に正社員という名称だけで判断するものではありません。
継続的に雇用され、正社員と同様の就業時間で勤務する職員も含まれます。
運用要領では、たとえば次のいずれかに該当する場合は常勤職員として扱って差し支えないとされています。
- 所定労働日数が週5日以上かつ年間217日以上で、週所定労働時間が30時間以上
- 雇用保険の被保険者で、週所定労働時間が30時間以上
給与が月給か日給かといった給与形態だけでは判断しません。
一方、人数枠を計算する常勤職員数には、育成就労外国人と技能実習生は含めません。
特定技能など、ほかの在留資格で常勤職員として働く外国人については、要件を満たせば常勤職員数に含まれます。
派遣先企業の場合、その会社と雇用契約を結んでいない派遣労働者を自社の常勤職員数へ入れることはできません。
役員についても原則は職員に含まれません。ただし、取締役部長など職員を兼務し、常勤職員の要件を満たしている場合は含められる場合があります。
常勤職員数は事業所ごとではなく企業全体で見るのが原則
一般の育成就労の人数枠では、本社だけ、工場だけ、営業所だけの人数で計算するわけではありません。
本社・支社・事業所を含めた法人全体の常勤職員数を基に人数枠を算定します。
たとえば、
本社10人
工場20人
営業所10人
で同じ法人なら、原則として常勤職員数40人として人数枠を確認します。
監理型の一般枠なら、常勤職員31~40人に該当するため、基本人数枠は12人です。
ただし、介護分野のように事業所単位の人数基準が設定されている分野もあります。
そのため、「法人全体の人数枠を確認して終わり」ではなく、対象分野の独自要件も続けて確認する必要があります。
技能実習生がいる会社は人数枠から差し引いて考える
2027年4月1日に育成就労制度が始まっても、経過措置により技能実習を続ける人がいます。
このうち、技能実習1号と2号の技能実習生は、育成就労の人数枠を計算するときに育成就労外国人として数えます。
たとえば、
常勤職員20人
一般の基本人数枠9人
技能実習1号・2号が合計5人在籍
という会社なら、単純に新たな育成就労外国人を9人追加できるわけではありません。
人数枠上は5人をすでに使用しているため、残りの枠は4人です。
一方、経過措置で技能実習3号を続けている人については、育成就労制度の人数枠では育成就労外国人として数えません。技能実習制度側の人数枠規制を受けます。
現在技能実習生を受け入れている会社では、まず「何人在籍しているか」だけでなく、1号・2号・3号のどれに該当するかを確認する必要があります。
優良な育成就労実施者なら人数枠が広がる
育成就労では、技能・日本語能力の修得実績、育成体制、外国人の待遇、法令違反や行方不明者の発生状況、相談・支援体制、地域社会との共生への取組などを総合的に評価し、優良な育成就労実施者と認める仕組みがあります。
監理型の場合、優良な育成就労実施者は基本人数枠が原則2倍になります。
さらに、指定区域に住所がある優良な育成就労実施者が、優良な監理支援機関から監理支援を受ける場合には、基本人数枠の3倍まで拡大されます。
3倍枠は次のようになります。
| 常勤職員数 | 基本枠 | 優良 | 優良+指定区域などの要件を満たす場合 |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 15% | 30% | 45% |
| 201~300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101~200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51~100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41~50人 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31~40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9~30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
ただし、3倍枠は「地方に会社があれば自動的に使える」というものではありません。
監理型では、育成就労実施者が優良、監理支援機関も優良、さらに育成就労実施者の住所が指定区域にあることなどが必要です。指定区域かどうかは、外国人が働く現場ではなく育成就労実施者の本店所在地で判断されます。
単独型は監理型と同じ人数表とは限らない
海外の現地法人や取引先企業の職員などを一定の関係に基づいて受け入れる「単独型育成就労」では、人数枠の計算方法が異なる場合があります。
一般的な単独型では、基本人数枠は常勤職員総数の15%です。ただし、計算結果が3人未満になる場合は0人となるため、常勤職員が20人以上いなければこの枠で受け入れることはできません。
優良な場合は常勤職員総数の30%となりますが、この場合も3人未満は0人となるため、常勤職員10人以上が必要です。
一方、継続的かつ安定的に育成就労を実施できる体制があると認められた単独型では、監理型と同様の人数表を使用できます。
自社が単独型に該当する場合は、監理型の人数表をそのまま使わないことが重要です。
建設は一般の人数枠とは別の上限にも注意
分野によっては、一般の人数枠に加えて独自の制限があります。
建設分野では、原則として育成就労外国人の人数が、育成就労実施者の常勤職員数を超えないことが求められます。
この場合の常勤職員数からは、技能実習生、育成就労外国人、1号特定技能外国人を除きます。
たとえば通常の監理型なら、常勤職員3人の会社の基本人数枠は表上9人です。
しかし建設分野では、一般の育成就労実施者については別途「育成就労外国人が常勤職員数を超えない」という分野独自の基準があるため、単純に9人まで受け入れられるとは判断できません。
なお、この建設分野の追加上限については、優良な育成就労実施者には例外があります。主務省令による人数枠自体がなくなるわけではありません。
介護も事業所単位の人数枠を確認する
介護分野にも独自の人数基準があります。
介護では法人全体だけでなく、受入れを行う事業所の常勤介護職員数に応じた人数上限が設定されます。
さらに、その事業所で働く育成就労外国人の総数は、原則として事業所の常勤介護職員の総数を超えることができません。
そのため、複数の介護施設を運営している法人では、「法人全体で常勤職員100人だから18人」といった一般表だけで人数を決めることはできません。
実際に外国人を配置する事業所の常勤介護職員数まで確認する必要があります。
国全体にも分野ごとの受入れ上限がある
企業ごとの人数枠とは別に、育成就労制度には産業分野ごとの「受入れ見込数」が設定されています。
2028年度末、つまり2029年3月末までの育成就労外国人の受入れ見込数は、17分野合計で42万6,200人です。
これは1社が受け入れられる人数ではなく、日本全体で各分野に設定される上限です。
分野の在留者数が受入れ見込数を超えることが見込まれる場合には、その分野で新たな育成就労計画の認定を一時停止する仕組みがあります。
つまり、自社の人数枠に空きがあっても、分野全体の上限によって新規受入れが止まる可能性があります。
自社があと何人受け入れられるかはこの順番で確認する
育成就労の受入れ人数を確認するときは、単に人数表を見るのではなく、次の順番で考えると整理できます。
まず、本社・支社・事業所を含めた常勤職員数を確認します。
次に、監理型なのか単独型なのかを確認し、該当する基本人数枠を出します。
そのうえで、現在在籍する育成就労外国人と、経過措置中の技能実習1号・2号の人数を確認します。
たとえば、
常勤職員25人
監理型・一般
基本人数枠9人
育成就労外国人2人
技能実習1号・2号3人
なら、
9人-2人-3人=新たに受け入れられる枠は4人
と考えます。
最後に、建設・介護など分野独自の人数制限がないかを確認します。
「常勤職員数から基本枠を出す」だけではなく、
常勤職員数 → 監理型・単独型 → 基本人数枠 → 現在の育成就労外国人数 → 技能実習1号・2号 → 優良要件 → 分野独自の人数制限
まで確認して、実際の受入れ可能人数を決めるのがポイントです。
まとめ
育成就労の受入れ人数は、企業の常勤職員数を基準に上限が設定されています。
監理型の一般枠では、常勤職員3~30人なら9人、31~40人なら12人、41~50人なら15人、51~100人なら18人が基本人数枠です。
ただし、この人数は毎年の採用人数ではなく、1年目から3年目までの育成就労外国人を合計した在籍上限です。
経過措置中の技能実習1号・2号もこの枠に含まれます。また、優良な育成就労実施者では人数枠が拡大する一方、建設や介護のように分野独自の人数制限があるケースもあります。
これから受入れ人数を決める場合は、まず自社の常勤職員数と現在在籍している技能実習生・育成就労外国人の人数を一覧にすることから始めると、自社に残っている受入れ枠を確認しやすくなります。
出典
出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A
出入国在留管理庁|育成就労制度運用要領
法務省・厚生労働省|外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則
出入国在留管理庁|育成就労外国人の受入れ人数枠
厚生労働省|介護分野における育成就労制度について
出入国在留管理庁・国土交通省|建設分野における育成就労制度の運用方針