育成就労の採用費用はいくら?|受入れにかかる費用を整理

育成就労で外国人を1人採用するときの費用には、全国一律の金額はありません。

2026年9月現在、制度は2027年4月1日の開始前です。そのため「育成就労の平均採用費○万円」という実績ベースの相場もまだありません。2026年に公表された民間試算でも、初期費用は「30万~100万円程度」「50万~145万円程度」「70万~110万円程度」など幅があります。

企業が予算を組むときは、1つの相場だけを見るより、採用・送出し、申請、講習、渡航、住居、監理支援、日本語教育に分ける方が実際の負担を把握しやすくなります。

なお、給与や社会保険料は外国人を雇用した後も継続する通常の人件費です。採用までの初期費用とは分けて考えます。

育成就労の受入れ費用は3つに分ける

企業側の費用は、大きく次の3つに分けると整理できます。

費用主な内容発生時期
採用・受入れ初期費用募集、送出機関、申請、渡航、入国後講習、住居準備など採用~就労開始
制度運用費監理支援費、日本語教育、監査・指導、相談対応など就労開始後も継続
通常の人件費給与、社会保険の事業主負担など雇用中

「1人採用するのにいくらかかるか」を知りたい場合は、まず1段目と2段目を見積もり、その後に給与等を加えます。

最初にかかるのは募集・選考と送出機関の費用

海外から育成就労外国人を採用する場合、候補者の募集・選抜、現地との連絡、送出機関へ支払う費用などが発生します。

外国人技能実習機構が公開している監理支援費表の様式でも、職業紹介費として「募集及び選抜に要する人件費・交通費」「外国の送出機関との連絡・協議費」「外国の送出機関へ支払う費用」などを分けて記載する仕組みになっています。

この金額は国や送出機関、募集人数などによって変わります。

そのため、監理支援機関へ見積りを依頼するときは、「紹介料○万円」だけでなく、その中に現地募集、面接、送出機関費用、入国前教育などのどこまでが含まれているかを確認します。

外国人本人が払える送出費用には上限がある

育成就労では、外国人本人が送出機関へ支払う費用についても規制があります。

本人から徴収できる費用は、日本の受入れ企業から支払われる所定内月給の2か月分が上限です。その上限を超える費用が必要な場合は、育成就労実施者である企業または監理支援機関が負担します。

そのため、技能実習時代の費用感をそのまま育成就労へ当てはめると、企業側の負担を少なく見積もる可能性があります。

採用予定国を決めたら、送出機関へ支払う総額と、外国人本人・監理支援機関・受入れ企業のどこが何を負担するのかまで確認しておきます。

育成就労計画の認定は1人につき6,100円

育成就労では、受け入れる外国人ごとに育成就労計画を作成し、認定を受けます。

育成就労計画の認定申請手数料は、2026年4月の制度改正後、1件につき6,100円です。

さらに払込方法に応じて、ペイジー払いでは440円、払込票払いでは572円のシステム利用料がかかります。

これは公的な申請手数料です。

一方、計画作成や在留手続などについて専門家へ依頼する場合は、別途その依頼費用が発生する場合があります。

入国前・入国後の講習にも費用がかかる

育成就労では、入国後すぐに会社の現場で働くわけではありません。

監理型の場合、入国後講習などがあり、施設使用料、講師・通訳への謝金、教材費、講習中に外国人へ支給する手当などが費用になります。

公式の監理支援費表にも、これらは「講習費」として独立した項目になっています。

入国後講習期間中は通常の就労を行わないため、外国人が講習に専念できる待遇も確保しなければなりません。

食費や居住費を本人が負担する場合には、それと同等以上の講習手当を支給する必要があります。

つまり、会社側では「講習の料金」だけでなく、配属前の期間に必要となる費用も予算に入れておく必要があります。

日本語教育は採用後も費用が続く

育成就労では、日本語教育も企業側のコストとして考えておく必要があります。

就労開始前までに原則としてA1相当の日本語能力を確保し、試験に合格していない場合などには100時間以上のA1相当講習が必要です。

さらに3年間の育成期間中には、A2相当を目標とする100時間以上の日本語講習も設けられています。

出入国在留管理庁は、これらの講習について、育成就労実施者などが費用負担を含めて受講させるための措置を取ることを求めています。

外国人がすでに必要な日本語試験へ合格しているかによって必要な講習も変わるため、「外国人1人につき日本語教育費○万円」と固定することはできません。

見積り時には、監理支援費の中に日本語教育がどこまで含まれているかも確認します。

渡航費・帰国費も見ておく

海外から外国人を受け入れる以上、航空券や国内移動などの費用も発生します。

監理支援費表の公式様式にも、「育成就労外国人の渡航及び帰国に要する費用」がその他諸経費として設けられています。

監理型育成就労では、帰国旅費は監理支援機関が全額負担することが求められていますが、その費用については監理支援費のその他諸経費として受入れ企業から徴収することができます。外国人本人へ負担させることはできません。

したがって、監理支援機関の料金表に「渡航・帰国」が含まれているのか、それとも別途実費なのかを確認します。

住居は「全部会社負担」とは限らない

育成就労実施者には、外国人のための適切な宿泊施設を確保することが求められます。

そのため、会社で借上げ住宅を用意する場合には、

  • 敷金・礼金など
  • 家具・家電
  • 寝具
  • 水道・電気・ガスの開始費用
  • 入居時の移動費

などが初期費用になることがあります。

ただし、住居費をすべて企業が負担しなければならないという意味ではありません。

食事や宿泊施設を提供する際の適正な実費については、一定の条件のもとで外国人本人から徴収することもできます。

そのため住居については、「会社の支出額」と「最終的な会社負担額」を分けて計算します。

監理支援機関への費用は採用後も続く

監理型育成就労では、監理支援機関へ監理支援費を支払います。

監理支援費は、

  • 職業紹介費
  • 講習費
  • 監査指導費
  • その他諸経費

の4区分に分けて管理され、いずれも監理支援事業に必要な実費の範囲に限られます。余分に預託した場合には、事後精算や返還などが必要です。

監理支援機関は、育成就労外国人1人当たり1年間の監理支援費を記載した料金表を作成し、許可後はインターネット上で公表する仕組みです。

そのため、制度開始後は「月額○万円」という営業資料だけでなく、正式な監理支援費表を確認して比較できます。

公開されている料金例では年間72万7,900円

2026年時点ですでに育成就労用の監理支援費表を公表している機関もあります。

例えば、ビケ足場仮設事業協同組合が公開している料金表では、育成就労外国人1人当たり、

費用金額例
職業紹介費92,000円
講習費158,000円
監査指導費180,000円
その他諸経費297,900円
合計727,900円

となっています。

ただし、この72万7,900円を「育成就労の全国相場」と考えてはいけません。

同表には、金額は例示であり、実際には適切に精算して実費を徴収すると明記されています。また、渡航・帰国費15万円なども含まれており、単純な月額監理費とは違います。

さらに、この料金表には育成就労計画認定手数料が3,900円と記載されていますが、現在の公式な申請手数料は6,100円です。制度開始前の移行期は、公表料金表の更新日と現在の制度内容が一致しているかも確認する必要があります。

給与は採用費用とは別に必要

育成就労は「安い外国人労働力を採用する制度」ではありません。

育成就労外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人の報酬と同等以上であることが求められます。

監理支援費や技能検定費などがかかることを理由として、外国人の賃金を低くすることも認められていません。

したがって企業が最終的な採用予算を組む場合は、

採用・制度利用の費用+給与+社会保険の事業主負担分

で考える必要があります。

外国人だから人件費自体が安くなることを前提に予算を組まないようにします。

「1人いくら」ではなく初年度と3年間で見積もる

育成就労の費用を把握するときは、1つの金額にまとめてもらうより、次のように分ける方が分かりやすくなります。

採用から就労開始まで

  • 募集・選考
  • 送出機関
  • 育成就労計画
  • 在留・渡航関係
  • 入国前・入国後講習
  • 住居準備
  • 日本語教育

就労開始後

  • 監査・指導
  • 相談・支援
  • 日本語教育
  • 試験関係
  • その他の制度運用費

さらに給与・社会保険を別枠にします。

監理支援機関へ見積りを依頼するときは、同じ国・人数・分野・採用時期を伝え、

「1人当たり初年度総額」
「2年目の年間総額」
「3年目の年間総額」

を出してもらいます。

これなら、「初期費用は安いが毎年の費用が高い」「月額は安いが入国時の費用が別途」という違いも見つけやすくなります。

育成就労の採用費用はいくら用意すればよい?

2026年9月時点では、育成就労がまだ始まっていないため、全国平均の採用費用を確定的に示すことはできません。

民間の試算には1人当たり初期30万~100万円程度から50万~145万円程度まで幅があります。これは、送出国、監理支援機関、住居、日本語教育、採用人数などによって費用が大きく変わるためです。

そのため、最初の予算組みでは「月額監理費はいくらか」だけを聞くのではなく、まず候補となる監理支援機関へ、

採用予定国・人数・業務区分・就労開始時期

を伝えてください。

そして、採用から配属までに必要な初期費用、1年目の監理支援費、2・3年目の費用、日本語教育、住居などを分けた見積りを出してもらいます。

その見積りに給与と社会保険の事業主負担分を加えれば、自社で育成就労外国人を1人受け入れるために必要な実際の予算が見えるようになります。

出典

出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A

出入国在留管理庁|育成就労制度運用要領

出入国在留管理庁|育成就労制度における日本語能力向上のための施策

外国人技能実習機構|監理支援費表

外国人技能実習機構|育成就労計画の認定申請手数料の払込方法

ビケ足場仮設事業協同組合|育成就労・監理支援費表