育成就労で監理支援機関を選ぶときは、最初から「一番安いところ」を探すのではなく、自社の業務を扱えるか、採用したい国に対応できるかを確認し、その条件を満たす機関同士で費用と支援内容を比較するのが基本です。
監理支援機関は、外国人の紹介だけを行う会社ではありません。外国人と受入れ企業のマッチング、育成就労計画の作成指導、監査・指導、入国後講習、外国人からの相談対応、転籍時の連絡調整などまで担います。法務省
そのため、月額費用だけが安くても、自社の分野や採用国に対応できなかったり、母国語での相談体制が弱かったりすれば、受入れ開始後に困る可能性があります。
最初に「自社の分野を扱えるか」を確認する
監理支援機関なら、どの育成就労分野でも扱えるわけではありません。
監理支援機関の許可申請では、どの職種・業務区分を取り扱うのかを届け出ます。また、介護、工業製品製造業、自動車整備、物流倉庫、漁業では、分野独自の上乗せ基準も設けられています。法務省
したがって、候補を探すときは「育成就労に対応していますか」だけでは足りません。
例えば製造会社なら、自社で外国人に担当してもらう業務区分まで伝え、その業務を監理できるのかを確認します。
ここで対象外なら、費用や対応国を比較する前に候補から外れます。
次に「どの国から採用できるか」を確認する
対応国も、単に「ベトナム対応」「インドネシア対応」とホームページに書かれているかだけで判断できません。
育成就労では、外国の送出機関を通じて受け入れる場合、原則として日本と二国間取決めを作成した国の認定送出機関から受け入れる仕組みです。
2026年9月27日時点で、外国人技能実習機構が「認定」として公表しているのは、ウズベキスタン、スリランカ、タイ、ラオスです。一方、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどは暫定送出機関リストが公表されている段階です。オティット
| 2026年9月27日時点 | 国 |
|---|---|
| 認定送出機関リストあり | ウズベキスタン、スリランカ、タイ、ラオス |
| 暫定リスト | インドネシア、カンボジア、キルギス、タジキスタン、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、ブータン、フィリピン、ベトナム、ミャンマー |
暫定リストの国については、その後に二国間取決めが成立し、正式な認定送出機関リストに掲載されることが必要です。
監理支援機関の施行日前申請でも、受入れ予定国の送出機関を記載します。暫定リストに掲載されていても、その後正式な認定リストに入らなかった送出機関を使ったままでは許可を受けられません。オティット
したがって、「○○国に対応できますか」と聞くだけではなく、どの送出機関と契約しているのか、その送出機関が現在どのリストに掲載されているのかまで確認します。
対応国は人数より「採用したい国に強いか」で見る
対応国が10か国ある監理支援機関が、3か国だけ扱う機関より必ず優れているわけではありません。
自社がベトナムから採用したいのであれば、重要なのはベトナムでどの送出機関と連携し、どのように募集・選考・入国前教育を進めるのかです。
さらに受入れ後は、外国人が理解できる言語で相談できる体制も必要になります。
監理支援機関には、育成就労外国人が使用する言語について通訳人と連絡できる体制などを整えることが求められています。外国人本人からの相談には、監理支援機関の役職員が責任を持って対応しなければなりません。法務省
そのため対応国を比較するときは、
「紹介できます」
だけではなく、
「その言語でトラブル相談が入ったとき、誰が何時まで対応するのか」
まで確認すると差が見えます。
費用は「月額監理費」だけで比較しない
監理支援機関へ支払う費用は「監理支援費」として整理されます。
法律上、監理支援費として認められる主な区分は次の4つです。
| 費用 | 主な内容 |
|---|---|
| 職業紹介費 | 募集・選抜、交通費、送出機関へ支払う費用など |
| 講習費 | 入国前・入国後講習、施設、講師、通訳、教材など |
| 監査指導費 | 受入れ企業への監査・指導に必要な人件費や交通費など |
| その他諸経費 | 渡航・帰国、相談支援、事務費など |
これらは自由に利益を上乗せする料金ではなく、原則として実費の範囲でなければなりません。また、用途と金額を受入れ企業へ明示する必要があります。法令検索
監理支援費を外国人本人へ直接・間接に負担させることも認められていません。法務省
比較するときは「1人・1年間」でそろえる
ここは費用比較で特に注意したいところです。
外国人技能実習機構が監理支援機関へ提出を求めている監理支援費表では、育成就労外国人1人当たり1年間の金額を記載することになっています。許可後は業務運営規程と監理支援費表をインターネットで公表する必要があります。オティット
したがって、2社から次のような見積りをもらった場合、
- A社:月額3万円
- B社:年間50万円
という表示だけでは比較できません。
月額費用に何が含まれているのか、採用時の職業紹介費、入国後講習、渡航費、送出機関費用、技能試験、相談対応などが別途必要なのかをそろえる必要があります。
監理支援機関が公表する監理支援費表も、職業紹介費、講習費、監査指導費、その他諸経費に分けて記載する様式になっています。オティット
比較するときは「月額いくらですか」ではなく、1人を採用して1年間育成就労させた場合、会社から出ていく総額はいくらかを出してもらう方が分かりやすくなります。
初年度と2年目以降は分けて聞く
育成就労では、毎年同じ費用が発生するとは限りません。
募集・選抜や送出機関との調整、入国前後の講習、渡航などは採用・入国時に発生します。一方、監査・相談対応などは受入れ期間中も続きます。
したがって見積りを取るときは、
初年度総額
と
2年目・3年目の年間費用
を分けてもらった方が比較しやすくなります。
さらに「実費」と書かれている項目について、何が発生したときに追加請求されるのかも確認します。
安いと思って契約した後で、渡航費、試験費、通訳費、送迎費などが別途積み上がれば、最終的な負担は変わります。
費用が安い理由も確認する
監理支援費は実費が基本なので、高いほど良いとも、安いほど良いとも言えません。
例えば、監理支援機関が自社から遠ければ、監査や指導の交通費が大きくなることがあります。
反対に、同じ地域の企業を多く監理し、通訳や相談対応の体制を効率的に構築できている機関であれば、費用を抑えられる可能性があります。
重要なのは、金額だけを見るのではなく、
その金額で何をしてくれるのか
を確認することです。
特に、送出機関へ支払う金額が国ごとに異なる場合、監理支援費表にも送出機関ごとの金額を記載する仕組みになっています。オティット
採用国が違えば、同じ監理支援機関でも費用が変わる可能性があります。
「手続きをしてくれる範囲」も比較する
監理支援機関には、監査・指導だけでなく、育成就労計画の作成指導、入国後講習、外国人の保護・相談対応などの役割があります。転籍を希望する外国人が出た場合には、他の受入れ企業や監理支援機関との連絡調整も行います。オティット
ただし、企業側が行う作業まで全て代行してくれるという意味ではありません。
候補機関との面談では、
- 求人条件作成からどこまで関与するか
- 現地面接は誰が行うか
- 育成就労計画はどこまで作成指導するか
- 入国後講習をどこで行うか
- 日本語教育をどう組み立てるか
- 在留関係手続の取次ぎをどこまで行うか
- 夜間・休日に事故や失踪、労務トラブルが起きた場合の連絡先
- 本人から転籍希望が出た場合の対応方法
を同じ条件で質問すると比較しやすくなります。
費用差より、この対応範囲の差の方が受入れ開始後に大きく影響することがあります。
今の監理団体をそのまま選んでもよい?
技能実習生をすでに受け入れている企業なら、現在の監理団体へそのまま育成就労も依頼する方法があります。
ただし、技能実習の監理団体が自動的に監理支援機関になるわけではありません。育成就労では改めて監理支援機関の許可が必要です。法務省
2026年9月現在は施行日前申請の受付期間中です。
現在の監理団体へ依頼する場合も、「育成就労に対応しますか」だけではなく、
監理支援機関の許可申請状況、自社の業務区分、採用予定国・送出機関
まで確認します。
現在の監理団体との関係が良好で、現場や担当者を理解しており、希望する国・業務区分にも対応するのであれば、継続するメリットはあります。
一方、対応国を変更したい、現在の支援に不満がある、育成就労から特定技能まで一貫して外国人材の育成を考え直したい場合には、制度移行を機に複数機関を比較する意味があります。
監理支援機関は3社程度を同じ条件で比べる
候補を比較するときは、各機関の営業資料を読むだけでは差が分かりにくくなります。
まず自社で、
分野・業務区分、採用人数、希望国、採用時期、勤務地
を1枚にまとめます。
その同じ条件を複数の監理支援機関へ伝え、
対応可能か → どの送出機関を使うか → 年間総額 → 費用に含まれる支援 → 緊急時・母国語対応
の順で聞けば、比較条件をそろえられます。
例えば、安い見積りが出ても、希望国の送出機関がまだ正式な認定を受けていない、通訳をすぐ手配できない、入国後の日本語教育が別料金という場合があります。
逆に多少費用が高くても、自社の分野で受入れ実績があり、採用したい国の現地事情に詳しく、相談対応まで自社に合っているケースもあります。
最初に見るべきなのは金額ではありません。
「自社の仕事×採用したい国」で受入れを実際に進められる機関だけを残し、その後に年間費用と支援範囲を比較する。
これが監理支援機関を選ぶときの基本的な順番です。
出典
出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A 育成就労制度Q&A
出入国在留管理庁|育成就労制度運用要領 育成就労制度 運用要領
外国人技能実習機構|外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度) 外国政府認定送出機関一覧
e-Gov法令検索|育成就労法施行規則 育成就労法施行規則