育成就労3年目に何を確認する?|技能・日本語試験と特定技能移行の準備

育成就労の3年目に入ったら、企業が最初に確認するのは「3年間が終わる日」だけではありません。

まず、本人の育成就労計画で定めた技能試験・日本語試験を確認し、受験時期を確保します。そのうえで、本人が育成就労終了後に特定技能1号へ移行するのか、帰国するのかなど、今後の希望を確認します。

育成就労は原則3年間で特定技能1号水準まで育成する制度です。特定技能1号へ移る場合、技能試験と日本語試験への合格が必要で、技能実習2号からの移行のような一律の試験免除はありません。

なお、育成就労制度は2027年4月1日開始です。2026年9月現在、実際に「育成就労3年目」の外国人はまだいません。この記事は、現在公表されている制度・運用要領に基づいて3年目の準備を整理しています。

3年目はまず育成就労計画の「目標試験」を確認する

育成就労では、外国人ごとに作成した育成就労計画に、3年間で到達する技能・日本語能力の目標を設定します。

技能については、分野・業務区分に応じて、

  • 技能検定3級
  • 3級相当の育成就労評価試験
  • 特定技能1号評価試験

などが育成就労終了時の目標になります。

日本語については原則として「日本語教育の参照枠」のA2相当が目標ですが、分野によってA2より高い水準が設定される場合があります。具体的にどの試験を受けるのかは、分野別運用方針と本人の育成就労計画を確認します。

そのため、3年目になってから「N4を受ければよい」「技能検定3級を受ければよい」と一律に決めるのではなく、まず認定された計画の目標を確認する必要があります。

特定技能へ移らなくても3年目の試験は受ける

本人が育成就労終了後に帰国する予定だからといって、3年目の試験を受けなくてよいわけではありません。

育成就労実施者には、3年間の育成就労終了までに、育成就労計画で目標として設定した技能試験と日本語能力試験を本人に受験させる義務があります。

すでに同じ試験に合格している場合は再度受験させる必要はありませんが、特定技能1号への移行を希望していない場合でも、計画上の目標試験は受験させる必要があります。

つまり、

3年目の目標試験=特定技能へ移る人だけの試験

ではありません。

育成就労そのものの到達度を確認する試験でもあります。

試験費用は外国人本人に負担させない

3年目の試験日程を決めるときは、受験料だけでなく交通費や材料費も含めて会社側の予算を確認します。

育成就労制度運用要領では、育成就労の目標となる各種試験の受験手数料、交通費、材料費などを外国人本人に負担させず、育成就労実施者または監理支援機関が負担することとされています。

また、育成就労計画で定めた試験を受ける時間は労働時間です。

試験日を欠勤扱いにしたり、外国人本人の有給休暇を使わせて受験させたりすることも認められていません。

3年目に入った段階で、試験日だけでなく、

申込み期限、試験会場、受験費用、移動時間、勤務シフト

までセットで確認しておく必要があります。

特定技能1号への移行には技能と日本語の両方が必要

育成就労から特定技能1号へ移る場合は、原則として技能と日本語の両方について移行要件を満たします。

技能については、技能検定3級等または特定技能1号評価試験など、対象分野で定められた試験への合格が必要です。

日本語については、原則としてA2相当以上の試験への合格が必要で、日本語能力試験ではN4などが該当します。ただし、分野によってより高い日本語水準や独自の試験が設定される場合があるため、分野別運用方針を確認します。

技能実習2号を良好に修了した人について現在認められているような「技能・日本語試験の免除」を、育成就労修了者へそのまま当てはめることはできません。

育成就労の目標試験と特定技能移行の試験が同じとは限らない

3年目で特に注意したいのがここです。

育成就労計画で目標として設定した技能試験と、特定技能1号への在留資格変更に利用する技能試験が、必ずしも完全に同じとは限りません。

例えば、育成就労の目標として技能検定3級等を設定していて、その試験に合格できなかった場合でも、同じ業務区分に対応する特定技能1号評価試験に合格すれば、特定技能1号への変更に必要な技能を証明できる場合があります。

反対に、「特定技能1号評価試験があるから、それを受ければ育成就労の目標試験も済む」とは限りません。

育成就労の目標にできる試験は、分野別運用方針の「育成就労を終了するまでに求められる水準」に記載された試験に限られます。

そのため3年目には、

育成就労計画上の目標試験

と

特定技能1号への変更に使う試験

を分けて確認します。

本人が特定技能へ移りたいかも早めに確認する

技能・日本語試験の準備だけを進めても、本人が育成就労終了後にどうしたいのか分からなければ、その後の手続きを組めません。

3年目の早い段階で、

  • 今の会社で特定技能1号として働き続けたい
  • 別の会社で特定技能として働きたい
  • 帰国したい
  • まだ決めていない

のどれに近いのかを確認しておきます。

特定技能1号へ移行する場合は、試験合格だけで自動的に在留資格が変わるわけではありません。

特定技能として働く会社との雇用契約、1号特定技能外国人支援計画などを整え、地方出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請を行う必要があります。

今の会社で特定技能として雇い続けるなら会社側も準備する

育成就労を受け入れていた会社が、その外国人をそのまま特定技能1号として雇用することは可能です。

ただし、「育成就労を3年間受け入れた会社だから、そのまま特定技能の受入れ企業になれる」というわけではありません。

特定技能所属機関には、

  • 適切な特定技能雇用契約
  • 法令を遵守していること
  • 外国人を支援できる体制
  • 適切な1号特定技能外国人支援計画

などの要件があります。

自社で支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関へ1号特定技能外国人支援計画の実施を委託する方法もあります。

育成就労では監理支援機関と進めていても、特定技能へ移行すると支援の仕組みが変わります。

「現在の監理支援機関が特定技能の登録支援機関でもあるか」「特定技能移行後の支援を誰が行うか」も3年目のうちに決めておきます。

試験に落ちたらすぐ帰国ではない

技能試験または日本語試験に不合格だった場合、3年で必ず育成就労が終了して直ちに帰国するとは限りません。

育成就労計画に基づいて適正に育成就労を行っていたにもかかわらず目標試験に合格できなかった場合などには、3年を超えて育成就労を延長できる仕組みがあります。

延長できる期間は最長1年です。ただし、自動的に1年間延長されるのではなく、育成就労計画の変更認定が必要です。再受験や結果確認に必要な期間を考慮して延長期間を設定し、必要以上に長く延長することはできません。

そのため不合格になった時点で初めて対応を考えるのではなく、

いつ再受験できるか、3年間の終了日までに結果が出るか

もあらかじめ確認しておく必要があります。

「技能試験だけ不合格」の場合も移行方法を確認する

育成就労の目標試験に不合格だったからといって、必ず育成就労を延長しなければならないわけでもありません。

例えば育成就労計画で設定した技能検定等には不合格だったものの、特定技能1号への移行に利用できる別の技能試験に合格し、日本語要件も満たしている場合には、特定技能1号への在留資格変更が可能になる場合があります。

逆に技能試験には合格していても、日本語試験を満たしていなければ特定技能1号への移行要件を満たしません。

「3年目試験に合格した・落ちた」だけで判断するのではなく、

技能要件と日本語要件を別々に確認する

ことが重要です。

3年目になってから日本語対策を始めない

育成就労では、3年間を通じて原則A2相当の日本語能力を身につけることが目標です。

育成就労実施者などには、A2相当の日本語能力を目指すための日本語講習を受講できるよう、費用負担を含めた措置を取ることが求められています。

そのため3年目は、ゼロから日本語教育を始める時期ではなく、

現在の日本語力と合格に必要な水準との差を確認する時期

と考えます。

模擬試験や過去の受験結果などを見ながら、受験予定の試験までにどこを補う必要があるかを確認します。

3年目に企業が確認する順番

育成就労3年目に入ったら、まず本人の育成就労計画を開きます。

そこで、

育成終了日 → 技能の目標試験 → 日本語の目標試験

を確認します。

次に本人へ、

育成就労終了後も日本で働きたいか、特定技能1号へ移りたいか

を確認します。

特定技能へ移るのであれば、

必要な技能・日本語試験に合格しているか → 今の会社で継続雇用するか → 特定技能雇用契約と支援体制を整える → 在留資格変更許可申請

まで逆算します。

まだ必要な試験に合格していなければ、受験日と再受験可能日を先に押さえます。

育成就労の3年目は、「3年間が終わるのを待つ時期」ではありません。

試験の合格確認と、その後の在留資格をつなぐ時期です。

特に企業側は、本人が特定技能へ移行する意思を確認したうえで、試験結果が出てから慌てて手続きを始めるのではなく、雇用契約、支援体制、在留資格変更までを育成就労終了日から逆算して準備しておく必要があります。

出典

出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A
育成就労制度Q&Aを確認する

出入国在留管理庁|育成就労制度運用要領
育成就労制度運用要領を確認する

出入国在留管理庁|育成就労制度に係る分野別運用方針
分野別運用方針を確認する

出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
特定技能1号の支援制度を確認する

出入国在留管理庁|特定技能の受入れ機関の方
特定技能への移行手続を確認する