育成就労の受入れは何から始める?|採用から就労開始までの準備順

育成就労の受入れを始めるとき、最初に外国人を募集するのではありません。

まず、自社で担当してもらう仕事が育成就労の対象となる分野・業務区分に入っているかを確認し、受入れ要件と人数枠を確認します。監理型育成就労で受け入れる場合は、その次に監理支援機関を決め、外国人の募集・選考へ進むのが基本です。法務省

採用する外国人が決まった後も、すぐ日本で働き始められるわけではありません。

育成就労計画の認定、在留資格の手続、査証(ビザ)、入国、入国後講習を経て、ようやく現場での就労が始まります。

受入れまでの順番を先に確認

海外から外国人を新たに採用し、監理型育成就労で受け入れる場合の大きな流れは次のとおりです。

順番企業側で進めること
1自社の仕事が対象分野・業務区分か確認
2受入れ人数・会社の要件を確認
3監理支援機関を決める
4求人条件を決め、候補者を募集・選考
5労働条件などを本人へ説明し、雇用契約を締結
6協議会加入など分野ごとの要件を整える
7外国人ごとに育成就労計画を作成・申請
8計画認定後、在留資格の手続きを行う
9査証を取得して入国
10入国後講習を実施
11必要な日本語要件を満たして就労開始

重要なのは、育成就労計画を作ってから外国人を探す制度ではないことです。

育成就労計画は受け入れる外国人ごとに作成するため、実際の候補者や労働条件を固めながら認定申請へ進みます。法務省

最初は「どの仕事を任せるか」を決める

最初に確認したいのは、国籍や募集人数ではなく、外国人に何の仕事を担当してもらうのかです。

育成就労では対象となる育成就労産業分野と業務区分が決められています。会社が対象業種に見えても、実際に担当させる業務が対象区分に合っているかまで確認する必要があります。法務省

さらに、会社が受け入れられる人数にも上限があります。

常勤職員数などに応じて受入れ人数枠が決まり、経過措置で技能実習生が残っている企業では、一定の技能実習生も人数枠の計算に含まれます。すでに外国人材を受け入れている企業ほど、募集前に人数枠を確認しておく必要があります。法務省

監理型なら監理支援機関を先に決める

監理型育成就労では、監理支援機関が外国人とのマッチングや育成就労計画の作成指導、受入れ後の監理・支援などに関わります。

そのため、「外国人を採用してから監理支援機関を探す」より、受入れ可能性を確認した段階で相談先を決めておく方が手続を組み立てやすくなります。法務省

技能実習で付き合いのある監理団体を利用する場合も注意が必要です。

現在の監理団体が自動的に育成就労の監理支援機関になるわけではなく、新たな許可が必要です。2026年9月時点の施行日前申請では、育成就労計画を申請する前に、監理支援を予定する法人が監理支援機関の許可申請を行っていることなども確認事項になっています。法務省

求人条件を決めて候補者を選ぶ

監理支援機関と受入れの方向を固めたら、募集人数、担当業務、勤務地、賃金、労働時間、休日、住居などの条件を決めて候補者を募集します。

育成就労では、雇用契約を締結するときに、業務内容や労働条件だけでなく、入国後講習中の待遇、本人の意向による転籍が制限される期間、日本滞在中の待遇などについても、本人へ直接説明することが求められます。

説明は対面またはリアルタイムのオンラインで行う必要があり、録画を見せるだけ、電話だけといった方法では足りません。法務省

つまり、「現地の送出機関に条件説明を全部任せる」という進め方にはできません。

受入れ企業自身も、本人がどの条件で日本へ来るのかを把握したうえで採用を進める必要があります。

採用が決まったら協議会・社内体制を整える

育成就労計画を申請する前には、外国人本人の書類だけでなく、会社側の受入れ体制も整えていきます。

育成就労実施者は原則として分野別協議会へ加入する必要があり、工業製品製造業では登録法人の構成員となるなど、分野によって手続が異なります。計画認定申請時には、協議会加入を証明する書類や分野ごとの上乗せ基準に関する書類が必要になる場合があります。オティット

社内では、育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談員など、受入れ後に必要となる担当者も決めます。

外国人を採用できるかだけでなく、「入国後に誰が技能を教えるのか」「生活上の相談を誰が受けるのか」まで決めてから計画申請へ進むことになります。法務省

外国人ごとに育成就労計画を作る

受け入れる外国人が決まり、会社側の体制も整ったら、育成就労計画を作成します。

育成就労計画は会社単位で1つ作れば終わりではありません。外国人ごとに、原則3年間について、従事する業務、技能の育成、日本語能力の目標などを定め、外国人育成就労機構の認定を受けます。監理型の場合は、監理支援機関の指導に基づいて作成します。法務省

通常の制度運用では、育成就労開始予定日の6か月前から認定申請ができ、原則として4か月前までの申請が求められます。遅くなると予定した開始日に間に合わない可能性があります。法務省

2027年の制度開始に向けた申請は時期が違う

2026年9月現在は制度施行前のため、通常時とは申請時期が異なります。

施行日前の育成就労計画認定申請は2026年9月1日から2027年3月31日まで受け付けられ、原則として育成就労開始予定日の7か月前から5か月前までに行うよう案内されています。認定結果は2027年4月1日以降、順次通知されます。オティット

例えば2027年春から受入れを予定している企業なら、「2027年になってから準備する」のではなく、2026年中に候補者や受入れ条件、必要書類を固めておく必要があります。

計画認定のあとに在留資格の手続がある

育成就労計画が認定されても、その時点で外国人が入国できるわけではありません。

海外から新たに受け入れる場合は、育成就労計画の認定後に在留資格認定証明書の交付申請を行い、その後、外国人本人が在外公館で査証の手続きを進めて日本へ入国する流れになります。法務省

この順序は、

育成就労計画の認定 → 在留資格認定証明書 → 査証 → 入国

です。

育成就労計画の申請と在留資格の申請を同じ手続だと思わないことが重要です。

特に制度施行直後に海外から新規採用する場合は、2027年4月1日がそのまま「会社で働き始められる日」になるとは限りません。

施行日前申請の認定結果自体が2027年4月1日以降に通知され、その後に在留資格や査証の手続が続くケースがあるため、実際の配属日から逆算して予定を組む必要があります。オティット

入国したらすぐ現場へ配属するわけではない

海外から入国した育成就労外国人には、入国後講習があります。

通常の監理型育成就労では、日本語、日本での生活一般に関する知識、法的保護に必要な情報、技能の習得に役立つ知識などについて講習を受けます。

これらの入国後講習は業務に従事する前に実施する必要があり、講習期間中に通常の育成就労の仕事をさせることはできません。法務省

したがって、会社の人員計画では「日本に到着する日」と「現場で働き始める日」を同じ日に設定しないようにします。

日本語要件も就労開始前までに確認する

育成就労では、入国そのものに技能や日本語能力の要件が設定されているわけではありません。

ただし、実際に就労を開始するまでに、日本語能力A1相当以上の試験に合格するか、原則としてA1相当の日本語講習を100時間以上受講することが求められます。一定の講習は本国で行うことも可能です。法務省

そのため、日本語教育も入国後に考え始めるのではなく、候補者を採用する段階から確認しておく必要があります。

試験で要件を満たすのか、講習で満たすのかによって、入国前後のスケジュールが変わります。

受入れ準備は「外国人を探す前」と「採用後」に分ける

育成就労の受入れを初めて進める企業は、すべての手続を一度に考えると分かりにくくなります。

まず外国人を探す前に、

  • 自社の業務が対象か
  • 何人受け入れられるか
  • どの監理支援機関と進めるか
  • 分野独自の受入れ条件は何か

を確認します。

ここまで確認できたら外国人を募集し、採用後は、

雇用条件の確定 → 協議会・社内体制の整備 → 育成就労計画の認定 → 在留資格 → 査証・入国 → 入国後講習 → 就労開始

と進めます。

最初の具体的な行動は、求人を出すことではありません。

自社で外国人に任せたい仕事内容を書き出し、それがどの育成就労産業分野・業務区分に当たるのかを確認します。対象であることが確認できたら、受入れ人数と分野別要件を確認し、監理型で進める企業は監理支援機関の選定へ進むのが基本です。

出典

出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A 法務省

出入国在留管理庁|育成就労制度運用要領 法務省

出入国在留管理庁|育成就労開始までの流れ 法務省

外国人技能実習機構|育成就労計画認定施行日前申請 オティット

外国人技能実習機構|分野別運用方針・告示・運用要領等 オティット